
皮膚感作性試験とは?
被験物質が皮膚に接触した際に、接触皮膚炎(遅延型アレルギー)を引き起こす可能性があるかを評価します。
一度感作(アレルギー化)されると、微量の物質でも繰り返し皮膚炎を起こす可能性があるため、安全性評価において非常に重要な項目です。感作性物質として、医薬品、化粧品、日用品、香料、防腐剤、食物、植物、金属などに様々な報告があります。
身近にある接触性皮膚炎の原因物質の例
| 種類 | 原因物質 |
|---|---|
| 植物 | 菊、百合 ぺリルアルデヒド(紫蘇の葉) ウルシオール(うるし) |
| 医薬品 | 塩化ベンザルコニウム(消毒薬) ネオマイシン(抗生物質) |
| 日用品 | ラテックス(手袋など) |
| 化粧品 | ヘアカラー、パーマ剤等 |
| 金属 | ニッケル、コバルト、クロムなど |
| 防腐剤 | チメロサール |
| 香料 | ムスクアンブレット、桂皮酸アルデヒド |
アレルギーの分類と皮膚感作性試験
アレルギー反応は、Gell-Coombs分類により、下表のとおり4種類に大別されています。
皮膚感作性試験は、Ⅳ型アレルギーの有無を評価します。
| アレルギーの種類 | 機序 | 症状などの例 |
|---|---|---|
|
Ⅰ型アレルギー (即時型) |
主にIgEという免疫グロブリンが関与する。感作後、IgEに抗原が結合すると、肥満細胞や好塩基球から化学伝達物質が遊離し、血管透過性亢進、血管拡張、平滑筋収縮などが誘発され、アレルギー症状を発症する。 |
アレルギー性鼻炎、 蕁麻疹、気管支喘息 アナフィラキシーショックなど |
|
Ⅱ型アレルギー (細胞障害型) |
IgG、IgMという免疫グロブリンが関与する。標的細胞の抗原やハプテンとIgG、IgMが結合し、さらにそこへ補体が結合することにより、細胞障害を引き起こす。 | 溶血性貧血、顆粒球減少症、 血小板減少症など |
|
Ⅲ型アレルギー (免疫複合体型) |
抗原とIgGやIgMなどの抗体が結合した免疫複合体が血管内壁や組織に沈着し、その結果、補体が活性化され、血管透過性亢進や平滑筋収縮などのⅠ型アレルギーと似た症状を誘発する。また、好中球が免疫複合体を貪食することにより、組織障害性の炎症を引き起こす。 皮膚反応では皮内注射3~8時間で反応が最大を示すとされる。 |
血清病、関節リュウマチ、 全身性エリテマトーデスなど |
|
Ⅳ型アレルギー (遅延型) |
T細胞が関与する。T細胞が抗原に感作され、感作されたT細胞が全身に分布する。その後、感作されたT細胞が再び抗原と反応すると、T細胞からサイトカインが放出され、細胞障害を引き起こす。 液性抗体や補体は関与しない。 皮膚反応では、24~72時間後に反応が最大を示すとされる。 |
接触性皮膚炎、ツベルクリン反応、 移植片拒絶反応など |
皮膚感作性試験の仕組みと流れ:「感作」と「惹起」
皮膚感作性試験は様々な方法がありますが、いずれの方法も“感作”と“惹起”という処置を行い、感作性の有無を評価します。
“感作”処置として、動物に被験物質(抗原)を暴露させて生体の免疫に働きかけます。
感作後、惹起まで一定の期間を設け、その期間中にT細胞を主とした細胞性免疫により免疫反応が形成され、感作されたT細胞が全身に分布されます。
“惹起”処置では、再び動物に被験物質を暴露します。免疫反応が形成されていた場合、免疫反応により皮膚反応が引き起こされます。
皮膚感作性試験方法の種類
皮膚感作性試験は、主にモルモットを用いて試験を行います。
大別すると、アジュバント(FCA)を使用する試験と使用しない試験に分けられ、FCAを使用する試験は感度が高い試験方法となります。
DSTCで実施の多い試験は下表の試験です。
| 試験方法 | 使用動物 | FCAの有無 | 収載ガイドライン等 |
|---|---|---|---|
| Maximization Test (GPMT) |
モルモット | 有 | OECD TG406、ISO 10993-10、 化粧品・医薬部外品製造販売ガイドブック |
| Adjuvant and Patch Test (APT) |
モルモット | 有 | 化粧品・医薬部外品製造販売ガイドブック |
| Buehler | モルモット | 無 | OECD TG406、ISO 10993-10、 化粧品・医薬部外品製造販売ガイドブック2022 |
| LLNA:DA | マウス | 無 | OECD TG442A 化粧品・医薬部外品製造販売ガイドブック |
FCA:フロイントの完全アジュバント(免疫増強剤)
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記事の監修
株式会社薬物安全性試験センター 吉見研究所
第一研究部 in vivo試験チーム