
反復投与毒性試験とは?
医薬品、医療機器、食品、化学物質などのリスクアセスメントにおいてハザード評価の中核をなす試験です。一般に、単回投与試験が急性毒性の評価を目的とするのに対し、反復投与毒性試験では、一定期間継続して摂取・曝露した際の亜急性~慢性毒性の評価に主眼を置きます。本試験により、標的臓器の特定、*最大無毒性量(NOAEL)の算出、用量反応関係の把握、および毒性変化の可逆性(回復性)を明らかにします。
反復投与毒性試験の試験系
マウス、ラット、イヌ、ネコなど(※その他動物種についてもご相談ください。)
反復投与毒性試験の投与経路
ヒトでの臨床適用経路や環境曝露経路に基づき、最適な経路を選択します。
DSTCは、経口(強制・混餌・混水)、静脈内、経皮をはじめ、様々な投与経路に柔軟に対応いたします。
反復投与毒性試験の試験期間
臨床適用期間や想定される曝露期間に応じて設定します。例えば化学物質(申請用)の場合、28日(OECD TG407)または90日(OECD TG408)が選択されます。また、毒性情報が乏しい場合は、本試験の用量設定を最適化するために、7日間や14日間の予備的検討試験を先行させることが一般的です。
DSTCは、スクリーニングから申請用試験まで、目的に応じた最も効率的な投与期間を提案します。
反復投与毒性試験の用量設定
原則として、陰性対照群 + 被験物質投与3群の計4群で構成します。
- 設定のポイント:3用量の中で「毒性影響が現れない用量」と「毒性発現用量(過度な毒性を避けた範囲)」の両方を捉える必要があります。
- 用量間隔:用量反応性を正しく評価するため、公比2〜4倍の間隔が推奨されます。
- 上限用量:技術的な投与限界量を上限とします。また、医薬品や化学物質では1000 mg/kg/dayとすることが一般的です。
- 柔軟な対応:予備検討の結果次第では、より精緻な評価のために4〜5群設定をご提案する場合もございます。
適切な用量設定は、試験の失敗(毒性が弱すぎて検出できない、強すぎて試験継続困難など)を防ぐための要諦です。DSTCは経験豊富なトキシコロジストによる緻密な設計により、リスクを最小限に抑え、確実なNOAEL算出へと導きます。
反復投与毒性試験における可逆性の確認
毒性影響が認められる場合に、投与終了後の「休薬期間」においてその影響が回復するか(可逆性)を確認します。通常、対照群と高用量群にサテライト群を設置して評価します。
反復投与毒性試験の検査・測定
各種ガイドラインでは次の検査・測定が定められており、これらを網羅的に実施し、多角的に毒性を評価します。
一般状態観察、詳細観察、機能検査、体重測定、摂餌量測定、眼科学的検査、尿検査、血液学的検査、血液生化学的検査、性周期検査、諸臓器の肉眼観察、器官重量測定および病理組織学的評価など。
DSTCは、ガイドライン規定外の項目につきましても、科学的妥当性に基づき柔軟に対応いたします。特殊な測定系についてもご相談ください。
反復投与毒性試験の対応GLP・ガイドライン
反復投与毒性試験の対応GLP
- 医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令
- 医療機器の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令
- 新規化学物質等に係る試験を実施する試験施設に関する基準について など
反復投与毒性試験のガイドライン
- OECD Guidelines for the Testing of Chemicals 407
- OECD Guidelines for the Testing of Chemicals 408
- ISO 10993-11: 2017, Biological evaluation of medical devices– Part 11: Tests for systemic toxicity など
DSTCは、ガイドライン外の試験設計や予備検討につきましても、目的に応じた適切な試験系をご提案いたします。お気軽にご相談ください。
NOAEL (最大無毒性量) および NOEL (最大無影響量)の違い
安全性評価において重要な指標となる2つの用語について解説します。
- NOAEL (No Observed Adverse Effect Level)
毒性試験において、「明らかに有害な影響」が認められない最大の用量あるいは濃度のことです。安全性評価(ヒトへの曝露許容量の算出など)には主としてこの値が用いられます。
- NOEL (No Observed Effect Level)
有害であるかどうかにかかわらず、被験物質による「何の影響も」観察されない最大の用量または濃度のことです。一般的にNOEL ≦ NOAELの関係となります。